皆さん、
「ふらっと」はついに10周年を迎えました。2013年9月23日、栗林さんの畳屋に荷物を運び、家具もまだそろってなかった状態で、薄い布団一枚敷いて、こたつの風にローテーブルの上にもう一枚薄い布団を被り、一つ小さな電気ストーブで、相談が始めました。本当は、4人(ロザ、あべ、ふじい、ふかがわ)と友達を誘って、少人数で隠れ居場所を作るつもりでしたが、おおつかを加え、江上を加え、ユースパルをはじめ長信田の森クリニックや秋田サポートステーなどの口コミ、精巧堂さんの広告、ABSのニュースeveryの放送などにより、居場所の存在を広め、次第に「仲間」が増えました。
ワインコインの利用で、最初の年は100円を徴収しましたが、これでお茶代や食事代に賄うには足りませんでした。次の年には値上げし、300円にしましたが、それもまだ不十分で、翌々年には500円に値上げしました。しかし、無収入のひきこもりの利用者にとってはこれが負担でした。そこで4年目には、メンバー制度を導入し、月2000円で利用放題というシステムを試みました。私的にできるだけ居場所を無料で提供したいと考えました。2017年に大仙市委託事業に移行する際に、お茶代を無料にしましたが、1~2年が経過すると、なぜか利用者との「ふらっと」の関係性が崩れ、完全に無料ということは良いことではないことが明らかになりました。そのため、2019年から再びワインコインのお茶代を徴収することになりました。ひきこもりの方は100円、それ以外は500円です。
2013年から2023年まで、ずっと変わらなかったのは「ワインコイン」、「当事者が中心とした活動(ピア)」です。また、研究オタクのロザ(私)がいると、当事者研究的な座談会が始まります。利用者も自然に自分と向き合うことができるようになりました。
「ふらっと」の利用実績は、1年目は多くの人が見学に訪れ、訳350人の利用者がいました。2年目は200人ぐらい、3年目は518人、4年目は893人、5年目は1952人(実数231人)、6年目は2143人(実数214人)、7年目1960人(実数193人)、8年目1449人(実数112人)、9年目5299人(実数238人)、10年目6582人(実数344人)。利用者の中には、外出を一切しないひきこもりから、外に出かけることが好きな人まで様々な人がいます。本人・家族もいれば、支援機関の関係者もいます。利用を続ける利用者は、対人関係が苦手で、ペースをゆっくりとする傾向があります。利用を続けるうちに、だんだん人との会話を楽しむようになり、生活の楽しみを目覚めた感じが多いかなあ。ただし、その時その時の事情や環境など、ニーズも違ってくる。実際、同じくひきこもりの人でも、その背景やニーズの異なるため、「ふらっと」が必ずしもすべての人に合うわけではないでしょう。
「ふらっと」が目指している支援は、支援される人は今度支援する人になること。ひきこもりは単なる病気ではなく、一時的な状態です。ひきこもりの状態を多発すると現象です。大切な人がひきこもり状態になったとき、「病気」「性格」にと簡単に括りつけないでください。その人に何があったのか、どんな思いを抱えていることを理解することで問題解決の一歩となります。本人の立場や事情、ひきこもりの必然性を考慮し、その気持ちを受け入れることも大切です。親としては難しいことかもしれませんが、子どもとのかかわり方において過保護や過干渉を避けることが大切です。また、ひきこもりは決して恥ずかしいことではなく、ポジティブな言葉をかけることができればうれしい。必要なリソースとアドバイスを与え、本人と一緒に一つ一つ絡んだ糸を解けていく。
ひきこもりは、通常のレールから外れているように見えるかもしれませんが、私の見解では、ひきこもりの人は単純に人生の途中で立ちたまっているように思えます。立ち止まる理由はさまざまで、「疲れ」「迷い」「どうすればわからない」という気持ち、そして一部の人には「ずる休み」の気持ちもあるかもしれません。立ち止まる期間は人によって異なり、一部の人は立ち止まる時間が短く、他の人は長いかもしれません。しかし、疲れが癒え、迷いが解け、決意が固まり、興味を持つことがあれば、再び前進しようとするでしょう。その時に私たちのサポートと応援が大切です。この10年間、「ふらっと」はゆっくり走る人もいれば、速いランナーもいるマラソンのようでした。ぜひ、11月14日(火)大仙市こぶし児童館で、私たちと一緒にこれらの10年間を祝いましょうね。お待ちしております!
特定非営利活動法人光希屋(家) 代表
ロザリン・ヨン M.P.H, PhD
秋田大学大学院医学系研究科 助教
一般社団法人秋田ひきこもりラボ 理事長